信州の旅 (6) 横手山展望

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宿を出発して、上り坂を縫うようにして横手山のドライブインに停車する。
ここからでも十分に北アルプスが展望できるのだが、ここから動く歩道に乗り、
継いでリフトに乗ると2305メートルの横手山山頂に着く。
九州には、もちろん2000m級の山などないし、久住連山、祖母傾山の山々には
動く歩道やリフトもない。
すっかり、商業化されているのが、少々興ざめだが、
ふらっときた観光客の一人として正直、便利でもある。
このような文明の利器に頼らず、登山道を登っている人たちもいる。
頂上の展望を満喫する感慨は、それぞれであろう。

まだ、午前9時を少し回っていることもあり、風が冷たい。
標高が高いせいもあり、空が群青色である。
その蒼色を背景に、白い雪をかぶった北アルプスの山もある。
峻厳・香気・凛冽・凄愴・玲瓏・・・・・・・

信州の平野に住む人たちにとって南・北アルプスは、岩の屏風であり
巨大な岩の津波ではなかろうか。
なにがしか人を拒むものとして、また、人の伸びやかな空想をも阻む天嶮として
あるのではないだろうか。
鹿児島市内から望む桜島の開放的な雄大さに比して、
この山々は、人を威圧するほどの圧倒的脅威を持っているように感じた。

手前に目を転ずると、戸隠山・飯綱山が見える。
飯綱山の飯綱神社には、飯縄権現が祀られ『飯縄法』を伝授するという信仰が
古来からあり、軍神として戦国期の武将たちに受け入れられ、越後の上杉謙信、
甲斐の武田信玄、相模・武蔵の後北条の武将たちのなかに広く信仰
されるようになった。
私が稽古している、神道無念流開祖、福井兵右衛門先生は、
下野出身で新神陰一円流を修行し、廻国修業の途中、信州の飯綱権現に参篭し、
神道無念流を開いたと伝えられる。
本来ならば、流派を伝承・稽古するものとして参詣すべきところであるが、
ここから手を合わせて参詣させていただく。

無念とは、他念無きことなり



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